教える気がないから難しく感じる
著者:外山滋比古(とやま しげひこ)
「思考の整理学」は難しいと感じる方が多いです。
なぜなら↓
技術や方法を読者に提供しようという意図はもっていない。
あとがきp217
外山さん、あとがき で言っちゃってます。
むずかしく感じるのは、そもそも正解を教える気がないから。
ビジネス書や自己啓発にあるような、正解を教えてくれる本ではないんです。
だから、正解を求めて読もうとすると、わかりにくいと感じます。
最初からたとえ話が出てきますし・・・
どうして正解を教えてくれないのか?
外山さんの考え(=テーマ)と関係があります。
訳が分からないところはさらっと読めばオッケー。
意味の分かるところを読めばいいんです。
「よく分からなかったけど、自分にはまったな」と思ったら、
何度か読み返すとわかることもあります。
テーマ
自分はどういう考え方をしているのか、ということを意識する。
あとがきp217
つまり、
- あなたの考えを尊重し育てていくことが大事
と考えているように思います。
意識するには、他の人の型に触れるのが早いです。
自分の考え方を自覚するのに、
「思考の整理学」が役立てば幸いだと、
外山さんは考えています。
「思考の整理学」は6章に分かれています。
- 1~3章はインプットについて
- 4章から整理について のまとめです。
「思考の整理学」を読んで、
「は?そんなわけないだろ。」と思ってもいいし、
「前から考えていたことだわ。」と思ってもいい。
本なら、自由にツッコミができます。
誰にも否定されません。
そして、「あ~、自分の考え方はこうなのか」と
区別できたり、客観的にみることができたら、
外山さんは ニッコニコ でしょう。
面白ポイント
”なぜ”を問うことができたからだp21
ギリシア人が輝かしい文化を築きあげた理由だと、外山さんは言います。
なぜ=問題作成能力です。
問題作成能力=独力で知識を得ること。
「なぜ」という単純な疑問が、
- 良くしていこう
- おかしいを変えていける力をもっているんですね。
東大生、京大生が読む理由がわかります。
同じクラスに勉強が好きで、自分で数学の問題を作る人がいました。
問題を解く先の面白さを理解していたんだと、今ならわかります。
大学生→社会人になって、いかに正解がない世の中にいるのか。
逆に、たくさんの正解があり、理不尽もある世の中にいるのか。
この世の中を生きるために、
あなたは自分の価値観・考えを持つ必要があると考えされます。
一般常識や法を破らないものに限りますが・・・
あなたと同じ「なぜ」を持つ人と考えを共有し、
仮説を立て、実行していけば、
世の中を変えるインパクトを与えられそうです。
思考の整理には、忘却がもっとも有効であるp127
ポイントは「整理」であること。
覚えることではありません。
整理するためには、物は少ない方が楽ですよね?。
思考の場合もそうです。
考えたいこと以外の事柄は不要ですよね?
必要な情報を集め、整理し、使えるようにするためには、
忘れることがもっとも有効だと、外山さんは考えます。
忘れることが大事だと、何度も出てきます。
全部忘れるんじゃなく、頭の仕組みを利用してうまく忘れること。
不要な考えをなくしていくことが、
頭をスッキリさせてくれます。
ほかの人の考えにも、肯定的な姿勢をとるようにしなくてはならないp148
なぜか?
- 考え事はうまくいくことがないから
- 良いアイデアを否定されると二度と出てこないから
- 褒められた人の思考は活発になるから
雰囲気や周りの空気が大事だという話です。
自分に関係ないと思いませんでしたか?
めちゃめちゃ関係あることでした❕
いい空気のところでないと、すぐれたアイディアを得ることは難しい。
本文p150
自分を中心にして、
いい考え、アイディアが生まれる環境つくりが必要なんです。
東大生、京大生の多くが「思考の整理学」を読むことで、
否定しない・肯定する雰囲気が作られていきます。
賢い人たちが活発に話し合える環境が作られているんです。
だから、賢い人たちは、
「奇人・変人」(いい意味です)なんて言われたりするんですね。
「思考の整理学」に賛同しない人もいるし、読まない人もいる。
でも、読んだ人がいい雰囲気を作り上げていくなら、
いい雰囲気は大きくなっていくに違いないと思いませんか?
読みやすくなりましたか・・・?
「思考の整理学」がむずかしく感じる訳をまとめてみました。
外山さんは、教育者としても物事を考えていたと思います。
執筆時の教育にも疑問を持っていました。
ただ正解を教えるだけじゃ、創造性が育たない。
そもそもの学校教育が極端になっていると考えたのです。
「思考の整理学」読むのは、高校生以上だと思われます。
これから大人になる人たちに読んでもらえれば、
子供たちの考え方、学び方も変えられるという願いを感じる一冊でした。
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